WINTER CAMP Experienceにて、講師に千葉県にある『たき火ヴィレッジ〈いの〉』管理人、猪野さんをお迎えした、焚火ワークショップのレポートです。
初日は雨天と天候に恵まれませんでしたが、2日目は朝から晴れ間が見え、気持ちの良い天気でした。
猪野さんのワークショップ、とても素敵な内容でしたので、その様子を写真とともに振り返りたいと思います。
まずは、〈着火材なしで、火を起こす方法〉と題されたワークショップですが、端的に言うとマッチ一本から始める焚火術を丁寧にご紹介いただき、実践しました。
この日は、前日からの雨で、落ち葉や小枝は濡れていましたし、薪は湿っていてなかなかの悪条件。
小枝拾いから準備をスタート
ワークショップの開始時間の1時間くらい前、猪野さんは小枝拾いから準備をスタートしました。
森から拾い集めた小枝。前日からの雨で小枝はびしょ濡れです。とても燃えそうにはありませんが……。ましてやマッチ1本では……っと、少々不安になります。
猪野さん、何やら濡れた枝をナイフで削りはじめました。
「湿っていないところまで削ります」っと、猪野さん。なるほど。
濡れているのは、雨に触れていた表層。中は乾燥していてました。
また、「削った皮は乾燥しやすくなるので、このまま、乾かします」。
おー。 っと、大きく唸ってしまいました。
ここまで準備をして一旦、コーヒブレイク。
さて、ワークショップは、猪さんの豪快な丸太割りデモンストレーションからスタート!
よいしょ!
パッカっ。会場から拍手が溢れます。
「薪割りのコツは、斧の刃を丸太の面に対して、まっすぐ垂直に当てること。遠心力と斧の重みでそれほど力を込めなくても、パッカっと割れます。」
斧の刃を垂直に当てるには、インパクトの際に、“膝を折る”と良いとのことでした。最後の写真でも分かるように確かに、膝を屈伸して腰を落としていますね。
それでは、みなさんで薪割りスタートです。
「スタンスは、肩幅程度に足を開き、斧は右手と左手の間隔を少しあけて握るのが基本姿勢。斧をコントロールしやすく、肩幅程度に足を開くことで、万が一、斧が空を切った場合でも、足を怪我するリスクを軽減します」
斧が空振った場合、刃が足元に飛んできます。必ず、足を開いて構えましょう。
猪さんのレクチャーを受け、みなさん上手に薪を割っていきます。
おおまかに割った薪は、ハンドアックスに持ち替え、更に細かく割っていきます。
お子さんもお父さんと薪割りに挑戦。
刃先だけ入れてあげれば、こどもでも割りやすいです。斧をつたって木の割れる感覚が身体に伝わります。こういう体験はとっても、素敵ですね。薪の割れる感覚にニコニコでした。
割った薪を焚き火台の上で“井の字”に組んでいきます。
井の字の中に、事前に準備していた樹皮を剥いた小枝や、乾燥させて樹の皮、杉の葉を詰めていきます。杉の葉は、油分が多く燃焼率がとても良く、バッと大きな炎をあげて燃えていきます。この杉の葉が着火剤の代わりになるのです。
では、いよいよ火入れ。
予め、組んだ薪の下部の隙間から、杉の葉を20cm程度出しておきました。
そこにマッチで着火。
杉の葉がバチバチと音を立てて、大きな炎を上げていきます。そして、樹の皮、小枝、薪と順番に燃え移り、見事に着火しました。
実は、一部うまく火が回らないところもあったのですが、その原因は密度でした。
「井の字に組んだ薪の内側に詰め込む密度を高くすることが、うまく燃焼させるコツです。
密度が低いと杉の葉が上げる強い炎から、樹皮や小枝と連動して燃え移りません。」
なるほど、内側に詰め込む量が重要なんですね。
うまく火がつかなかった分は、再度、組み直してパンパンにして着火。今度はうまく燃焼しました。
着火後は、焚火を使ったスイーツづくり
今回は、半分にカットしたかぼちゃの種を取り除き、凹みにハチミツをたっぷりかけた“スイートパンプキン”。
アルミホイールでくるみ、ハチミツがこぼれないように焚火にくべます。
事前に火ばさみで、かぼちゃのスペースを作っておくと簡単です。
30-40分くらい火にかけて完成。ホクホクに焼き上がりました。
かぼちゃの身をほぐしながら頂きましょう!
ホクホクのかぼちゃとトロトロのハチミツが相まって、ほっぺたが落ちそう。焚火の醍醐味ですね。
猪野さんが用意してくれたホットレモンで、しばしティーブレイク。
最後は取って置きのサバイバル術
何やら猪野さん、燃え残った小さな炭を整えはじめました。
ん?
燃えている炭をよけて、水の入ったペットボトルをおきます。
そして、直接ペットボトに触れないように気をつけながら、炭をペットボトルの近くに集めていきます。
しばらくすると、ペットボトルの底から小さな気泡が。合わせて湯気も上がってきました。
こぼれないようにそっと、取り出すと。
なんと、ペットボトルでお湯が沸かせました!
なかなか、ハードなシチュエーションでなければ、使用することはないテクニックかもしれませんが、プラスチックの容器でお湯が沸かせるなんて!
「直接、火の着いた炭がペットボトルに触れると簡単に穴が空いてこぼれてしまうのですが、うまく炭をコントロールすれば、ペットボトルでもお湯が沸かせるんです」
おおお!
こどもの笑顔と、大人の本気の顔。
終始、和やかな雰囲気で楽しくためになるワークショップでした。
薪割りの清々しい感覚、パチパチと音をあげる焚火。寒空の中、そーと、炎を眺め、家族でおしゃべり。
薪割りにはまり、淡々と薪を割り続ける方も。思い思いにのんびりと、焚火を楽しんでいただけたのではないでしょうか。
ご参加いただいたみなさん、どうも、ありがとうございました。
追伸ですが、先日、こどもの行事で、焼き芋を焼くための焚火を任されました。
風花が舞う寒空の下、このワークショップの経験を活かし、なんとか無事にマッチ一本から焚火をはじめることができホッとしました。鞴(ふいご)をおもちゃにしたり、干芋やミカンを網で炙ったりと、こどもたちと一緒に楽しく焚火を囲みました。
なかなか、火を焚くことが難しい今ですが、みなさんも是非、外に出て“冬ならではのあそび”を楽しんでみてはいかがでしょうか。