不動の滝キャンプ場

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2022.09.25

台風15号一夜明け

9月24日。明け方になるにつれ雨も弱まり、キャンプ場内の状況がわかってきた。

この時点で確認できた大きな被害は、管理棟前の道路の崩落だった。
土砂と一緒に流れてくる川の勢いによって、道路が寸断され崩落していた。
そして駐車場のあった場所とエントランスの部分の土地も削られ、ごっそり崩落して一帯の土地が跡形もなく無くなっていた。

そして、川近くに設置してあったテントサウナ2基が、テントサウナ用に作ったデッキの足場ごと、こちらもごっそりと全て跡形もなく流されていた。
デッキに関しては、7年間キャンプ場を経営してきて、台風や大雨でも水が上がってこない高さに設定して製作してもらったにも関わらず、それを有に超える川の流れによってすっかり流されていた。川の流れというよりは、土砂で川全体が埋まってしまっている状態だった。確認できたのはここまでだったが、まずは、何より、宿泊していたお客さんが無事であったことだった。とにかく安堵した。

川へ続く階段
テントサウナ設置場所

幸いネット回線は無事だったので、静岡県の被害状況が少しづつ分かってきた。また管理棟の電話回線も無事だったため、7時過ぎあたりから、町役場、警察、新聞社などからの電話が鳴り響く。
得られた情報は、キャンプ場を出たすぐ近くの道路が大規模に陥没し、地元の男性が軽トラックごと落ちてしまい、行方不明になっている大事故が発生していたことだった。
町役場からは、川根本町や周辺地域の被害状況の確認をしている為、暫くはキャンプ場で待機するようにと指示をもらった。
日が昇っていくにつれ、数時間前の豪雨が嘘だったかのように、空は晴れ渡ってきた。しかし変わり果てた景色と聞こえてくる川の濁流の轟音により、不気味な空間に感じられた。
だんだんも気温も上がり、晴れ間を利用して、お客さんたちはテントを干し片付けを始めた。
キャンプ道具を、避難してもらっていた上段部の車の中に積み込み、片付けを終えた。ほっとしたその途端に、川の水量があがり、キャンプサイトにも水がどんどん流れ込み、あっという間に小川ほどの流れができてしまった。
あと一歩遅ければ2次被害が出てしまったと思うと、本当によかった。

場内に流れ込んだ水

お客さんも交えて相談した結果、一度僕がキャンプ場から脱出し、流された軽トラックの代わりに別の車で戻ってきて、JRの最寄り駅までお客さんを送り、何とか自宅まで帰ってもらうという段取りを立てた。そして置いていくしかないお客さんの車は、道路が復旧した時点で、再度キャンプ場に車を取りに来てもらうことにした。

やっと徒歩で陥没した道路を歩きながら脱出をはじめた。
キャンプ場からしばらく歩くと、すぐ横を流れる小河内川が、川幅いっぱいに上流部から下流部まで大量の土砂で埋まっており、道路と川の水面がほぼ同じ高さになっていた。

吊り橋付近


途中、電話で聞いていた大事故が発生した場所では、すでに地元建設会社の重機や消防、警察などの方が救助にあたっていた。
ここだけでなく、川根本町全域で、土砂や道路の崩落があちこちで起きていることを知らされた。また、島田〜川根間をつないでいる主要道路において、大規模な崩落により通行ができない箇所があることで、川根本町が完全に孤立状態になっている話をきいた。

そこで、リニューアルからお世話になっている、川根本町の入り口近くの島田市家山にある、川根ガスさんに状況を聞くことにした。主要道路である島田川根線の復旧はかなりのスピードで進んでいるが、途中一箇所が大規模な崩落で今日中の復旧は厳しいのではないかという話だった。

歩いて行けるところまで歩きながら、家から向かってきてくれた家族と落ち合い、家に一旦戻り自身の無事を伝え、また車でキャンプ場まで向かった。車を降り歩いてキャンプ場まで戻り、一連の状況を伝え、主要道路を使って今日中に島田駅まで送るのは難しくなったことをお客さんに伝えた。そして宿を確保して、安全な場所でもう一晩泊まってもらい、再度JR島田駅まで送る段取りとした。

天候が回復したとはいえ、いつ土石流などが流入するか分からないような状況だったため、とにかくキャンプ場を出て、いち早くお客さんを安全な場所に連れて行きたかった。
しかし、近隣のホテルや他の宿泊施設のお客さんも同じように足止め状態で、空室がない状況だった。どうにもならない状況に困り果てていた時、以前から親交のあった、ゆる宿ボケットさんから連絡があり、ご厚意で部屋を用意して頂けることになった。15時過ぎに無事、全員でキャンプ場を脱出することができた。

青部地区にあるポケットさんの所までは、役場の方が送り届けて下さる手はずになっていた。待機場所に到着すると、お客さんが安堵の表情に変わった。それを見て僕も安堵の気持ちでいっぱいだった。

夕方、僕自身も一日ぶりに自宅に戻ることができた。お客さん、家族、友人知人、皆が無事だった事で安心したのか、これから更にやることは沢山ある状況で、泥の様に眠りにつきました。

RON

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