不動の滝キャンプ場

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2022.09.24

台風15号

2022年9月23日。夕方から降り始めた雨は、時間が経つにつれどんどん激しさが増していた。

23時30分頃、厨房で掃除をしていたところ、何かがゴロゴロと転がる音が聞こえ始めた。店内から外の様子を見てみると、駐車場に停めてある軽トラックに何とも言えない不自然さを感じた。確認のため外に出る。すると、目の前の川が泥濁りの濁流の川に変わっていて、駐車場に停めてある軽トラックの前輪が落ちていた。

すぐに、2組いるお客さんのテントに向かい、高台にあるヴィラサイトへ車で移動して避難してもらった。場内の見回りをしてみると、幸いなことにキャンプサイトには水の侵入はなかった。しかし、普段は5~7メートル下に見える川面が、濁流となってテントサイトと同じレベルにまで上がっていた。

炊事棟のデッキから

雨がとにかく酷く、雷も絶え間なく鳴り響いていた。一旦管理棟に戻ろうとしていたその時、軽トラックが更に傾きはじめ、間も無く車体の前半分が川の中に沈んでいった。身の危険を感じつつもなんとか積んであった大事な荷物を降ろせた。すぐに119に電話。軽トラが落ちそうな旨を伝えたが、町内各地で被害が続出しており、とてもそちらに行けそうに無いとの返事を受けているその間に、トラックが完全に川に落ち、濁流に飲み込まれ、あっという間に流されていった。

その直後、管理棟前の檜やナラの大木は、濁流の流れと共にあっさりと流されていき、リニューアルで使った木材、Welcomeと書かれたエントランスボードなど入口一帯の敷地は、濁流にどんどん削られ、跡形もなく流されて全てが無くなった。こんなことが目の前でしかも短時間で起こった。新設した1番サイトに、大工さんの故障したワンボックスがとまっている為、確認しに行く。そこもあと1m程崩れたら車が川に落ちてしまう状況だった。

町役場に電話しようとしていたところ突然停電となり、場内、管理棟全てのライトが消え、辺りが真っ暗闇になった。正直、この時点でどうして良いかわからず、レンタル用のランタンをあるだけ点けた。幸いなことに、停電でも固定電話は繋がった。こんな時、通常の着信音は鳴らないが、代わりに緊急用なのか聞いたことのない着信音が鳴るらしい。通話も可能だった。真っ暗闇の激しい雨の中でも、雷の光で一瞬辺りが明るく照らされた。それにより、目の前の川が、尋常でない異常な水位であることが確認できた。更には、キャンプ場内は土の匂いが充満していて、何ともいい表せない見えない恐怖を感じた。

その後、30分ほどで停電は回復したが、トラックが落ちた場所を起点に、川の流れが道路側に変わり、道路下の部分の土地が濁流で削られ続けた。そしてついに、管理棟前のデッキ席前から20メートル程の区間のアスファルトが落ち、道路が陥落した。これで完全に孤立した。町役場に連絡し、2組のお客さんがいる事、道路が崩落したこと、キャンプサイト内にいつ濁流が流れ込んできてもおかしくない状況であることを伝えた。その時応対してくれた町職員さんからも、緊張感が伝わってきた。

数時間で景色が一変した。

Am3:00過ぎ、やっと雨が弱まってきた。一睡も出来ないまま夜を過ごし、やっと空が明るくなってきたのと同時に、キャンプ場が被災したんだと思い知らされた。たったの数時間で、見慣れたキャンプ場の景色が一変し別の景色に変わってしまうものなのかと、ただただ愕然とした。大自然の脅威を前に手も足も出ずただ見ていることしか出来なかった。

RON

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